芥川龍之介 『十円札』 彼はその夕明りの中にしみじみこの折目のついた十円札へ目を落した。 鼠色の唐艸や十六菊の中に朱の印を押した十円札は不思議にも美しい紙幣である。 楕円形の中の肖像も愚鈍の相は帯びているにもせよ、ふだん思っていたほど俗悪ではない。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア