子爵はやはり微笑を浮べながら、私の言を聞いていたが、静にその硝子戸棚の前を去って、隣のそれに並べてある大蘇芳年の浮世絵の方へ、ゆっくりした歩調で歩みよると、
「じゃこの芳年をごらんなさい。
洋服を着た菊五郎と銀杏返しの半四郎とが、火入りの月の下で愁嘆場を出している所です。
子爵はやはり微笑を浮べながら、私の言を聞いていたが、静にその硝子戸棚の前を去って、隣のそれに並べてある大蘇芳年の浮世絵の方へ、ゆっくりした歩調で歩みよると、
「じゃこの芳年をごらんなさい。
洋服を着た菊五郎と銀杏返しの半四郎とが、火入りの月の下で愁嘆場を出している所です。