それから其角の後には、法師じみた丈艸が、手くびに菩提樹の珠数をかけて、端然と控へてゐたが、隣に座を占めた乙州の、絶えず鼻を啜つてゐるのは、もうこみ上げて来る悲しさに、堪へられなくなつたからであらう。
その容子をぢろぢろ眺めながら、古法衣の袖をかきつくろつて、無愛想な頤をそらせてゐる、背の低い僧形は惟然坊で、これは色の浅黒い、剛愎さうな支考と肩をならべて、木節の向うに坐つてゐた。
あとは唯、何人かの弟子たちが皆息もしないやうに静まり返つて、或は右、或は左と、師匠の床を囲みながら、限りない死別の名ごりを惜しんでゐる。