最後に今日は、たつた今まで、刻々臨終に近づいて行く師匠を、どこかその経過に興味でもあるやうな、観察的な眼で眺めてゐた。
もう一歩進めて皮肉に考へれば、事によるとその眺め方の背後には、他日自分の筆によつて書かるべき終焉記の一節さへ、予想されてゐなかつたとは云へない。
して見れば師匠の命終に侍しながら、自分の頭を支配してゐるものは、他門への名聞、門弟たちの利害、或は又自分一身の興味打算――皆直接垂死の師匠とは、関係のない事ばかりである。
最後に今日は、たつた今まで、刻々臨終に近づいて行く師匠を、どこかその経過に興味でもあるやうな、観察的な眼で眺めてゐた。
もう一歩進めて皮肉に考へれば、事によるとその眺め方の背後には、他日自分の筆によつて書かるべき終焉記の一節さへ、予想されてゐなかつたとは云へない。
して見れば師匠の命終に侍しながら、自分の頭を支配してゐるものは、他門への名聞、門弟たちの利害、或は又自分一身の興味打算――皆直接垂死の師匠とは、関係のない事ばかりである。