枯野に窮死した先達を歎かずに、薄暮に先達を失つた自分たち自身を歎いてゐる。
が、それを道徳的に非難して見た所で、本来薄情に出来上つた自分たち人間をどうしよう。
――かう云ふ厭世的な感慨に沈みながら、しかもそれに沈み得る事を得意にしてゐた支考は、師匠の唇をしめし終つて、羽根楊子を元の湯呑へ返すと、涙に咽んでゐる門弟たちを、嘲るやうにじろりと見廻して、徐に又自分の席へ立ち戻つた。
枯野に窮死した先達を歎かずに、薄暮に先達を失つた自分たち自身を歎いてゐる。
が、それを道徳的に非難して見た所で、本来薄情に出来上つた自分たち人間をどうしよう。
――かう云ふ厭世的な感慨に沈みながら、しかもそれに沈み得る事を得意にしてゐた支考は、師匠の唇をしめし終つて、羽根楊子を元の湯呑へ返すと、涙に咽んでゐる門弟たちを、嘲るやうにじろりと見廻して、徐に又自分の席へ立ち戻つた。