が、その間に芭蕉の呼吸は、一息毎に細くなつて、数さへ次第に減じて行く。
喉も、もう今では動かない。
うす痘痕の浮んでゐる、どこか蝋のやうな小さい顔、遥な空間を見据ゑてゐる、光の褪せた瞳の色、さうして頤にのびてゐる、銀のやうな白い鬚――それが皆人情の冷さに凍てついて、やがて赴くべき寂光土を、ぢつと夢みてゐるやうに思はれる。
が、その間に芭蕉の呼吸は、一息毎に細くなつて、数さへ次第に減じて行く。
喉も、もう今では動かない。
うす痘痕の浮んでゐる、どこか蝋のやうな小さい顔、遥な空間を見据ゑてゐる、光の褪せた瞳の色、さうして頤にのびてゐる、銀のやうな白い鬚――それが皆人情の冷さに凍てついて、やがて赴くべき寂光土を、ぢつと夢みてゐるやうに思はれる。