物慣れた甚太夫は破れ扇に鳥目を貰いながら、根気よく盛り場を窺いまわって、さらに倦む気色も示さなかった。
が、年若な求馬の心は、編笠に憔れた顔を隠して、秋晴れの日本橋を渡る時でも、結局彼等の敵打は徒労に終ってしまいそうな寂しさに沈み勝ちであった。
その内に筑波颪しがだんだん寒さを加え出すと、求馬は風邪が元になって、時々熱が昂ぶるようになった。
物慣れた甚太夫は破れ扇に鳥目を貰いながら、根気よく盛り場を窺いまわって、さらに倦む気色も示さなかった。
が、年若な求馬の心は、編笠に憔れた顔を隠して、秋晴れの日本橋を渡る時でも、結局彼等の敵打は徒労に終ってしまいそうな寂しさに沈み勝ちであった。
その内に筑波颪しがだんだん寒さを加え出すと、求馬は風邪が元になって、時々熱が昂ぶるようになった。