然れども、彼は猶、機を窺うて動かざりき。
将に是、池中の蛟竜が風雲の乗ずべきを待ちて、未立たざるもの、唯機会だにあらしめば、彼が鵬翼の扶揺を搏つて上ること九万里、青天を負うて南を図らむとする日の近きや知るべきのみ。
思ふに、彼は、鹿ヶ谷の密謀によりて、小松内府の薨去によりて、南都北嶺の反心によりて、平賊の命運、既に旦夕に迫れるを見、竊に莞爾として時の到らむとするを祝せしならむ。
然れども、彼は猶、機を窺うて動かざりき。
将に是、池中の蛟竜が風雲の乗ずべきを待ちて、未立たざるもの、唯機会だにあらしめば、彼が鵬翼の扶揺を搏つて上ること九万里、青天を負うて南を図らむとする日の近きや知るべきのみ。
思ふに、彼は、鹿ヶ谷の密謀によりて、小松内府の薨去によりて、南都北嶺の反心によりて、平賊の命運、既に旦夕に迫れるを見、竊に莞爾として時の到らむとするを祝せしならむ。