蓋し、頼朝の彼に平ならざる所以は、啻に、頼朝と和せずして去りたる十郎蔵人行家が、彼の陣中に投じたるが為のみにあらざりき。
始め、頼朝の関八州をうちて一丸と為さむとするや、常陸の住人信太三郎先生義広、独り、膝を屈して彼の足下に九拝するを潔しとせず、走つて義仲の軍に投じぬ。
「為人不忍」の彼は、義広の枯魚の如くなる落魄を見るに堪へず、喜ンで彼をして其旗下に止らしめたり。
蓋し、頼朝の彼に平ならざる所以は、啻に、頼朝と和せずして去りたる十郎蔵人行家が、彼の陣中に投じたるが為のみにあらざりき。
始め、頼朝の関八州をうちて一丸と為さむとするや、常陸の住人信太三郎先生義広、独り、膝を屈して彼の足下に九拝するを潔しとせず、走つて義仲の軍に投じぬ。
「為人不忍」の彼は、義広の枯魚の如くなる落魄を見るに堪へず、喜ンで彼をして其旗下に止らしめたり。