彼、兼平を顧み決然として共に馬首をめぐらし、北軍三百を魚鱗に備へ長剣をかざして、東軍を衝き、向ふ所鉄蹄縦横、周馳して囲を潰すこと数次、東軍摧靡して敢て当るものなし。
然れ共従兵既に悉く死し僅に慓悍、不敵の四郎兼平一騎を残す、兼平彼を見て愁然として云つて曰「心静に御生害候へ、兼平防矢仕りてやがて御供申すべし」と、是に於て、彼は、単騎鞭声粛々、馬首粟津の松原を指し、従容として自刃の地を求めたり。
しかも乗馬水田に陥りて再立たず、時に飛矢あり、颯然として流星の如く彼が内兜を射て鏃深く面に入る。
彼、兼平を顧み決然として共に馬首をめぐらし、北軍三百を魚鱗に備へ長剣をかざして、東軍を衝き、向ふ所鉄蹄縦横、周馳して囲を潰すこと数次、東軍摧靡して敢て当るものなし。
然れ共従兵既に悉く死し僅に慓悍、不敵の四郎兼平一騎を残す、兼平彼を見て愁然として云つて曰「心静に御生害候へ、兼平防矢仕りてやがて御供申すべし」と、是に於て、彼は、単騎鞭声粛々、馬首粟津の松原を指し、従容として自刃の地を求めたり。
しかも乗馬水田に陥りて再立たず、時に飛矢あり、颯然として流星の如く彼が内兜を射て鏃深く面に入る。