お栄はまだ夢でも見ているような、ぼんやりした心もちでいましたが、祖母はすぐにその手を引いて、うす暗い雪洞に人気のない廊下を照らしながら、昼でも滅多にはいった事のない土蔵へお栄をつれて行きました。
土蔵の奥には昔から、火伏せの稲荷が祀ってあると云う、白木の御宮がありました。
祖母は帯の間から鍵を出して、その御宮の扉を開けましたが、今雪洞の光に透かして見ると、古びた錦の御戸帳の後に、端然と立っている御神体は、ほかでもない、この麻利耶観音なのです。
お栄はまだ夢でも見ているような、ぼんやりした心もちでいましたが、祖母はすぐにその手を引いて、うす暗い雪洞に人気のない廊下を照らしながら、昼でも滅多にはいった事のない土蔵へお栄をつれて行きました。
土蔵の奥には昔から、火伏せの稲荷が祀ってあると云う、白木の御宮がありました。
祖母は帯の間から鍵を出して、その御宮の扉を開けましたが、今雪洞の光に透かして見ると、古びた錦の御戸帳の後に、端然と立っている御神体は、ほかでもない、この麻利耶観音なのです。