祖母は帯の間から鍵を出して、その御宮の扉を開けましたが、今雪洞の光に透かして見ると、古びた錦の御戸帳の後に、端然と立っている御神体は、ほかでもない、この麻利耶観音なのです。
お栄はそれを見ると同時に、急に蛼の鳴く声さえしない真夜中の土蔵が怖くなって、思わず祖母の膝へ縋りついたまま、しくしく泣き出してしまいました。
が、祖母はいつもと違って、お栄の泣くのにも頓着せず、その麻利耶観音の御宮の前に坐りながら、恭しく額に十字を切って、何かお栄にわからない御祈祷をあげ始めたそうです。
祖母は帯の間から鍵を出して、その御宮の扉を開けましたが、今雪洞の光に透かして見ると、古びた錦の御戸帳の後に、端然と立っている御神体は、ほかでもない、この麻利耶観音なのです。
お栄はそれを見ると同時に、急に蛼の鳴く声さえしない真夜中の土蔵が怖くなって、思わず祖母の膝へ縋りついたまま、しくしく泣き出してしまいました。
が、祖母はいつもと違って、お栄の泣くのにも頓着せず、その麻利耶観音の御宮の前に坐りながら、恭しく額に十字を切って、何かお栄にわからない御祈祷をあげ始めたそうです。