顔は扇をかざした陰にちらりと見えただけだつたが、紅梅や萌黄を重ねた上へ、紫の袿をひつかけてゐる、――その容子が何とも云へなかつた。
おまけに輫へはひる所だから、片手に袴をつかんだ儘、心もち腰をかがめ加減にした、――その又恰好もたまらなかつたつけ。
本院の大臣の御屋形には、ずゐぶん女房も沢山ゐるが、まづあの位なのは一人もないな。
顔は扇をかざした陰にちらりと見えただけだつたが、紅梅や萌黄を重ねた上へ、紫の袿をひつかけてゐる、――その容子が何とも云へなかつた。
おまけに輫へはひる所だから、片手に袴をつかんだ儘、心もち腰をかがめ加減にした、――その又恰好もたまらなかつたつけ。
本院の大臣の御屋形には、ずゐぶん女房も沢山ゐるが、まづあの位なのは一人もないな。