路は泥濘と云ふよりも、大水が出たのと変りはない。
こんな晩にわざわざ出かけて行けば、いくらつれない侍従でも、憐れに思ふのは当然である、――かう考へた平中は、局の口へ窺ひよると、銀を張つた扇を鳴らしながら、案内を請ふやうに咳ばらひをした。
すると十五六の女の童が、すぐに其処へ姿を見せた。
路は泥濘と云ふよりも、大水が出たのと変りはない。
こんな晩にわざわざ出かけて行けば、いくらつれない侍従でも、憐れに思ふのは当然である、――かう考へた平中は、局の口へ窺ひよると、銀を張つた扇を鳴らしながら、案内を請ふやうに咳ばらひをした。
すると十五六の女の童が、すぐに其処へ姿を見せた。