芥川龍之介 『好色』 その向うには不思議な程、空焚の匂が立ち罩めた、一面の闇が拡がつてゐる。 平中は静かに戸をしめると、そろそろ膝で這ひながら、手探りに奥へ進み寄つた。 が、この艶いた闇の中には、天井の雨の音の外に、何一つ物のけはひもしない。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア