私は、松村のこの不思議な挙動については、読者にはまだ明してない所の、私丈けの深い興味を持っていた。
それ故、彼に十円という、当時の私共に取っては、全財産の半分であったところの大金を与えることに、少しも異議を唱えなかった。
松村は、私から十円札を受取ると、古袷一枚に、皺くちゃのハンチングという扮装で、何も云わずに、プイとどこかへ出て行った。
私は、松村のこの不思議な挙動については、読者にはまだ明してない所の、私丈けの深い興味を持っていた。
それ故、彼に十円という、当時の私共に取っては、全財産の半分であったところの大金を与えることに、少しも異議を唱えなかった。
松村は、私から十円札を受取ると、古袷一枚に、皺くちゃのハンチングという扮装で、何も云わずに、プイとどこかへ出て行った。