それは、極く大型のアームチェーアですから、掛ける部分は、床にすれすれまで皮で張りつめてありますし、其外、凭れも肘掛けも、非常に部厚に出来ていて、その内部には、人間一人が隠れていても、決して外から分らない程の、共通した、大きな空洞があるのです。
無論、そこには、巌丈な木の枠と、沢山なスプリングが取りつけてありますけれど、私はそれらに、適当な細工を施して、人間が掛ける部分に膝を入れ、凭れの中へ首と胴とを入れ、丁度椅子の形に坐れば、その中にしのんでいられる程の、余裕を作ったのでございます。
そうした細工は、お手のものですから、十分手際よく、便利に仕上げました。