その時分には、盗みためた金が相当の額に上っていましたから、仮令、世の中へ出ても、以前の様に、みじめな暮しをすることはないのでした。
が、又思い返して見ますと、外人のホテルを出たということは、一方に於ては、大きな失望でありましたけれど、他方に於ては、一つの新しい希望を意味するものでございました。
といいますのは、私は数ヶ月の間も、それ程色々の異性を愛したにも拘らず、相手が凡て異国人であった為に、それがどんな立派な、好もしい肉体の持主であっても、精神的に妙な物足りなさを感じない訳には行きませんでした。