併し、これらの「犯罪」の真似事は、ある程度まで彼の慾望を満足させては呉れましたけれど、そして、時には一寸面白い事件を惹起しなぞして、その当座は十分慰めにもなったのですけれど、真似事はどこまでも真似事で、危険がないだけに――「犯罪」の魅力は見方によってはその危険にこそあるのですから――興味も乏しく、そういつまでも彼を有頂天にさせる力はありませんでした。
ものの三ヶ月もたちますと、いつとなく彼はこの楽みから遠ざかる様になりました。
そして、あんなにもひきつけられていた明智との交際も、段々とうとうとしくなって行きました。