そうして、東栄館に移って十日ばかりたったある日のことです。
退屈の余り、彼はふと妙な事を考えつきました。
彼の部屋には、――それは二階にあったのですが――安っぽい床の間の傍に、一間の押入がついていて、その内部は、鴨居と敷居との丁度中程に、押入れ一杯の巌丈な棚があって、上下二段に分れているのです。
そうして、東栄館に移って十日ばかりたったある日のことです。
退屈の余り、彼はふと妙な事を考えつきました。
彼の部屋には、――それは二階にあったのですが――安っぽい床の間の傍に、一間の押入がついていて、その内部は、鴨居と敷居との丁度中程に、押入れ一杯の巌丈な棚があって、上下二段に分れているのです。