その時同じカフェに遠藤も来ていて、三人が一つテーブルへ寄って酒を――尤も酒の嫌いな三郎はコーヒーでしたけれど――飲んだりして、三人とも大分いい心持になって、連立って下宿へ帰ったのですが、少しの酒に酔っぱらった遠藤は、「まあ僕の部屋へ来て下さい」と無理に二人を、彼の部屋へ引ぱり込みました。
遠藤は独ではしゃいで、夜が更けているのも構わず、女中を呼んでお茶を入れさせたりして、カフェから持越しの惚気話を繰返すのでした。
――三郎が彼を嫌い出したのは、その晩からです――その時、遠藤は、真赤に充血した脣をペロペロと嘗め廻しながら、さも得意らしくこんなことを云うのでした。