それは一つは、毒薬を盗み出したことを遠藤が勘づきはしないかという心配からでもありましたけれど、併し又、どうかして此間の様に、彼の口が節穴の真下へ来ないかと、その偶然を待ちこがれていなかったとは云えません。
現に彼は、いつの「散歩」の場合にも、シャツのポケットから彼の毒薬を離したことはないのでした。
ある夜のこと――それは三郎が「屋根裏の散歩」を始めてからもう十日程もたっていました。
それは一つは、毒薬を盗み出したことを遠藤が勘づきはしないかという心配からでもありましたけれど、併し又、どうかして此間の様に、彼の口が節穴の真下へ来ないかと、その偶然を待ちこがれていなかったとは云えません。
現に彼は、いつの「散歩」の場合にも、シャツのポケットから彼の毒薬を離したことはないのでした。
ある夜のこと――それは三郎が「屋根裏の散歩」を始めてからもう十日程もたっていました。