私はふと店と奥の間との境に閉めてある障子の格子戸がピッシャリ閉るのを見つけた。
――その障子は、専門家の方では無窓と称するもので、普通、紙をはるべき中央の部分が、こまかい縦の二重の格子になっていて、それが開閉出来るのだ――ハテ変なこともあるものだ。
古本屋などというものは、万引され易い商売だから、仮令店に番をしていなくても、奥に人がいて、障子のすきまなどから、じっと見張っているものなのに、そのすき見の箇所を塞いで了うとはおかしい、寒い時分なら兎も角、九月になったばかりのこんな蒸し暑い晩だのに、第一あの障子が閉切ってあるのから変だ。