「僕は丁度八時頃に、この古本屋の前に立って、そこの台にある雑誌を開いて見ていたのです。
すると、奥の方で何だか物音がしたもんですから、ふと目を上げてこの障子の方を見ますと、障子は閉まっていましたけれど、この格子の様になった所が開いてましたので、そのすき間に一人の男の立っているのが見えました。
しかし、私が目を上げるのと、その男が、この格子を閉めるのと殆ど同時でしたから、詳しいことは無論分りませんが、でも、帯の工合で男だったことは確かです」
「僕は丁度八時頃に、この古本屋の前に立って、そこの台にある雑誌を開いて見ていたのです。
すると、奥の方で何だか物音がしたもんですから、ふと目を上げてこの障子の方を見ますと、障子は閉まっていましたけれど、この格子の様になった所が開いてましたので、そのすき間に一人の男の立っているのが見えました。
しかし、私が目を上げるのと、その男が、この格子を閉めるのと殆ど同時でしたから、詳しいことは無論分りませんが、でも、帯の工合で男だったことは確かです」