今では無人島にも等しく、附近の漁師共が時々気まぐれに上陸して見る位で、殆ど顧る者もありません。
殊にそれは、ある岬の突端の荒海に孤立していて、余程の凪ででもなければ、小さな漁船などでは第一近づくのも危険ですし、又危険を冒してまで近づく程の場所でもないのです。
所の人は俗に沖の島と呼んでいますが、いつの頃からか、島全体が、M県随一の富豪であるT市の菰田家の所有になっていて、以前は同家に属する漁師達の内、物好きな連中が小屋を建てて住まったり、網干し場、物置きなどに使っていたこともあるのですが、数年以前それがすっかり、取払われ、俄にその島の上に不思議な作業が始ったのです。