若し諸君が、私の記述を信じて下さるならば、そして、この荒唐無稽とも見える物語を最後まで聞いて下さるならば、では、これからその秘密譚というのを始めることに致しましょうか。
お話は、M県とはずっと離れた、この東京から始まるのです。
東京の山の手のある学生街に、お定りの殺風景な、友愛館という下宿屋があって、そこの最も殺風景な一室に、人見廣介という書生ともごろつきともつかぬ、その癖年輩は三十を余程過ぎていそうな、不思議な男が住んで居りました。
若し諸君が、私の記述を信じて下さるならば、そして、この荒唐無稽とも見える物語を最後まで聞いて下さるならば、では、これからその秘密譚というのを始めることに致しましょうか。
お話は、M県とはずっと離れた、この東京から始まるのです。
東京の山の手のある学生街に、お定りの殺風景な、友愛館という下宿屋があって、そこの最も殺風景な一室に、人見廣介という書生ともごろつきともつかぬ、その癖年輩は三十を余程過ぎていそうな、不思議な男が住んで居りました。