随って彼は、先に挙げた様な数々のユートピヤ物語よりは、それらの架空的な文字の遊戯よりは、もっと実際的な、その内のあるものはある程度まで彼と同じ理想を実現したかに見える、古来の帝王達の――主として暴君達の――華々しい業蹟に、幾層倍も惹きつけられるのでありました。
例えばエジプトのピラミット、スフィンクス、ギリシャ、ローマの城郭的な或は宗教的な大都市、支那では万里の長城、阿房宮、日本では飛鳥朝以来の仏教的大建築物、金閣寺銀閣寺、単にそれらの建設物ではなくて、それを創造した英雄達のユートピヤ的な心事を想像する時、人見廣介の胸は躍るのでありました。
「若し我に巨万の富を与えるならば」