そんな訳で、折角気を入れて書き上げた創作などが、雑誌編輯者に握りつぶされたことも一二度ではなく、そこへ持って来て、彼の性質が、ただ文字の遊戯などで満足するには、余りに貪婪であったものですから、小説の方では一向うだつが上らないのです。
といって、それをも止めて了っては、早速其日の暮しにも困るので、厭々ながら、いつまでも下積み三文文士の生活を続けて行く外はないのでした。
彼は一枚五十銭の原稿を書きながら、そして、それの暇々には、彼の夢想郷の見取図だとか、そこへ建てる建築物の設計図だとかを、何枚となく書いては破り、書いては破りしながら、彼等の夢想を思うままに実現することの出来た、古来の帝王達の事蹟を、限りなき羨望を以て、心に思い描くのでした。