先に云った通り彼の計画は、二つの重要な部分に分れていました。
その第一は彼自身を、即ち人見廣介という人間を、この世からなくして了うことですが、それに着手するに先だって、一度菰田の邸のあるT市に急行して、果して菰田が土葬にされたかどうか、その墓地へうまく忍び込むことが出来るかどうか、菰田の若い夫人はどの様な人物であるか、召使共の気質はどんな風か、それらの点を一応検べて置く必要がありました。
その結果若し、この計画に破綻を来す様な危険が見えたならば、そこで、始めて実行を断念しても遅くはないのです、まだまだ取返しの余地はあるのでした。