死因が発作的の癲癇(医者はそれをカタレプシと名附けたのですが)だものですから、内臓にはこれという故障もなく、衰弱といっても知れたもので、食事なども、ただ営養に注意すればそれでよいのでした。
随って廣介の仮病は、精神の朦朧を装い、口をつぐんでいる外には、何の苦痛もなく、極めて楽なものでありました。
それにも拘らず、家人の看病は、実に至れり尽せりで、医師は毎日二度ずつ見舞いに来ますし、二人の看護婦と、小間使とは枕頭につき切りですし、角田という総支配人の老人や、親族達はひっ切りなしに様子を見にやって来ます。