名前は千代子といって、まだ二十二歳の謂わば小娘に過ぎないのですけれど、色々な理由から、彼はその女を恐れないではいられないのでした。
菰田の夫人が、まだ若くて美しい人だことは、以前にもT市へやって来て、一応は知っていたのですが、それが、毎日見ているに従って、俗に近まさりと云う、あの型に属する女と見え、段々その魅力を増して来るのです。
当然彼女は一番熱心な看病人でしたが、その痒い所へ手のとどく看護振りから、亡き源三郎と彼女との間が、どの様に濃やかな愛情を以て結びつけられていたのかを十分推察することが出来るのです。