それを蒼黒い海水の層を越し、おぼろ気な電光によって眺めるのです。
ある場所には、どの様な大虐殺の跡かと思うばかり、ドス黒い血の色に染まったあまのりの叢、赤毛の女が髪をふり乱した姿の牛毛海苔、鶏の足の形のとりのあし、巨大な赤百足かと見ゆるむかでのり、中にも一際無気味なのは、鶏頭の花壇を海底に沈めたかと疑われる、鮮紅色のとさかのりの一むら、まっ暗な海の底で、紅の色を見た時の物凄さは到底陸上で想像する様なものではないのです。
しかも、そのドロドロの、黄に青に赤に、無数の蛇の舌ともつれ合う異形の叢をかき分けて、先にも云った幾十幾百の螢が飛びかい、電燈の光域に入るに従って、夫々の不可思議な姿を、幻燈の絵の様に現します。