少くとも、千代子は、この始めての経験によって、生れて以来嘗て味ったことのない、夢幻世界の美に接した様に感じたのです。
闇の彼方から、何か巨大なものの気勢がして、二つの燐光が薄れると共に、徐々に電光の中に姿を現した、縞目鮮かな旗立鯛の雄姿に接した時などは、彼女は思わず感嘆の声を放って、恐怖と歓喜の余り、青ざめて夫の袖にすがりついた程でした。
青白く光った、豊満な菱形の体躯に、旭日旗の線条の様に、太く横ざまに、二刷子、鮮かな黒褐色の縞目、それが電燈に映って、殆ど金色に輝いているのです。
少くとも、千代子は、この始めての経験によって、生れて以来嘗て味ったことのない、夢幻世界の美に接した様に感じたのです。
闇の彼方から、何か巨大なものの気勢がして、二つの燐光が薄れると共に、徐々に電光の中に姿を現した、縞目鮮かな旗立鯛の雄姿に接した時などは、彼女は思わず感嘆の声を放って、恐怖と歓喜の余り、青ざめて夫の袖にすがりついた程でした。
青白く光った、豊満な菱形の体躯に、旭日旗の線条の様に、太く横ざまに、二刷子、鮮かな黒褐色の縞目、それが電燈に映って、殆ど金色に輝いているのです。