ハッとして、何か磁石に吸い寄せられた感じで、身を引く力もなく、と同時に事の次第が少しずつ分りかけて来た為に、いくらか安んずる所もあって、彼女はそのまま身動きもしないで、不思議なものを見続けていたのですが、すると、正面を向いた顔の大きさが、飛行船の気嚢の数倍もある怪物は、その顔全体が横に真二つに裂けた程の偉大な口をパクパクさせながら、飛竜そのままに、背中にうず高くもり上った数ヶの突起物をユラユラ動かし、節くれ立った短い足で、ジリジリとこちらへ近づいて来るのです。
そして、それが彼女の目の前に接近した時の恐しさ、正面から見れば、殆ど顔ばかりの獣です。
短い足の上にすぐ口が開き、象の様な細い目が直ちに背中の突起物に接しています。