二人はガラスを隔てて、人魚の導くがままに進むのです。
海底の細道は、進むに従って屈折し、しかもその所々に、故意か偶然か、不思議なガラスの歪みが出来ていて、その箇所を通過する毎に、裸女の身体が真二つに引裂かれ、或は胴を離れて首丈けが宙を飛び、或は顔丈けが異常に大きく拡大され、地獄か極楽か、何れにしろ此の世の外の不可思議な、悪夢の様に、次から次へと展開されるのでありました。
併し、間もなく人魚は水中に耐え難くなって、肺臓に溜めていた空気をホッと吐き出し、そのすさまじい泡の一団が、遙かの空に消える頃、彼女は最後の笑顔を残して、手足を鰭の様に動かすとヒラヒラと昇天し始めました。