そして、二人は一段一段と昇って行ったのですが、不思議なことには、間もなく頂上まで昇り切って了うと、下で見た時には幾百段とも知れず、空まで届き相であったのが、実際は百段もあるかなしで、決してそれ程高いものではないのです。
それがどうしてあんなに見えたのか、臆病故の錯覚としても、余りにその差が甚しく、千代子は不思議に堪えられませんでした。
後に至って分ったことですが、先刻海底で鮟鱇を太古の怪物と見誤った様な、丁度あれに似た幻覚が、この島全体に満ち充ちている様な気がして、それ故に一層そこの景色が美しいのだとも思われるのです。