随って、その一つ一つの景色は、全く平面を異にした、例えば三次の世界から四次の世界へと飛躍でもした感じで、ハッと思う間に、今まで見ていた同一地上が、形から色彩から匂に至るまで、まるで違ったものに変っているのでした。
それは本当に夢の感じか、そうでなければ、活動写真の二重焼付けの感じです。
そして、今二人の目の前に現れた世界は、廣介はそれを花園と称していたのですけれど、一般に花園という文字から聯想される何物でもなくて、乳色に澱んだ空と、その下に不思議な大波の様に起伏する丘陵の肌が、一面に春の百花によって、爛れているに過ぎないのです。