そして、異様なる香気と、地の底からの様に響く音楽とは、層一層その度を高め、遂には、彼等の鼻をも耳をも、その美しさに無感覚にして了う程も、絶え間なく続くのでした。
時とすると、谿間は広々とした花園と開け、その彼方に、空へのかけ橋の様に、花の山がそびえ、その茫漠たる斜面に、吉野山の花の雲を数倍した、幻怪なる光景を展開しました。
そして、一層驚くべきは、その斜面と広野との、虹の様な花を分けて、点々と、幾十人の裸体の男女の群が、遠くのものは白豆の様に小さく、嬉々としてアダムとイヴの鬼ごっこをやっていることでした。