遼陽大会戦の舞台へ走って、一人の士官人形を岩のうしろに隠し、その外套を剥いで、女士官になりすまし、清玄庵室の前の、老杉の木立に身を潜めて、賊を監視していたのだ。
そこへ明智と小林少年がやって来て、ピストル騒ぎ、賊の逃走となったのだが、賊は折角我物とした文代さんを、そのままにして逃げ去るに忍びず、桜姫の人形を、それがやっぱり人形に変っているとは知らず、小脇に抱えて走った。
中途人形であることを悟ったけれど、今度はそれを逆に利用して、追手の度胆を抜いてやろうと、軽い人形のことだから、苦もなく鉄骨の上に運び上げ、その頂上にブラ下げて、下界の人々を嘲笑した。