その恋人が、まるで古草履でも捨てるように、兄をふり捨てて、つばをはきかけて、相手もあろうに、二十も年上の、醜男の、詐欺師に、みずから進んでとついで行ったのです。
兄はある日僕の知らぬ間に、毒薬を飲んだのです。
そのいまわの際に、兄はゴボゴボと咳入って、恐ろしく血を吐いて、その血まみれの手で僕の手を握って、消えて行く声で、叫んだのです。
その恋人が、まるで古草履でも捨てるように、兄をふり捨てて、つばをはきかけて、相手もあろうに、二十も年上の、醜男の、詐欺師に、みずから進んでとついで行ったのです。
兄はある日僕の知らぬ間に、毒薬を飲んだのです。
そのいまわの際に、兄はゴボゴボと咳入って、恐ろしく血を吐いて、その血まみれの手で僕の手を握って、消えて行く声で、叫んだのです。