直ちに場内から表の往来まで隈なく捜索したが、已に手遅れ、首領の怪物も、部下の連中も、娘の文代まで、行衛知れずになっていた。
道化服の若者を取調べて見ると、彼は近頃元の親方の所から、多分の金を持逃げして、怪賊の一座にかくまわれていた者で、さっき「美人解体術」が終って間もなく、座長が「木戸口にデカらしい奴が来ているから、万一の用意に、お前は俺の道化服を着て白粉を塗って、姿を変えているがよかろう」と注意してくれたので、その通りにしていると、今の捕物騒ぎだ。
脛に傷持つ彼は、テッキリ自分が捕縛されるものと思い込み、持前の軽業で、綱渡りから天井裏への逃走となったのである。