買上げた宝石を、誰に与えるのか、夫人も子供もない全くの独り者で、小石川区内の、もと旗本の邸だという、古い大きな家を買求めて、数人の召使と共に住んでいた。
アメリカ式な、無造作な人物で、自分で自分の自動車を操縦して、よく玉村商店へ遊びに来たが、話し好きで、どことなく愛嬌があったので、主人の玉村氏ともじき懇意を結び、お互に訪問し合う程の間柄であった。
前章の出来事があってから、約一ヶ月の後、年を越して一月の終りに近いある日のこと、玉村氏は、一郎と二郎と妙子の三人の子供を連れて、牛原氏の晩餐会に招かれた。