約束はもう二三ヶ月も以前から出来ていたのだけれど、得二郎氏変死以来引続く凶事に、晩餐会どころではなく、長い間延び延びになっていたのが、この一月程、何の変事も起らず、流石の悪魔も退散したかと思われる程無事な日が続いたので、漸く約束を果す運びになったのである。
併し、明智小五郎の兼ねての注意に基き、玉村氏は、この何の危険もない晩餐会にも、屈強の書生数名を、護衛として同伴することを忘れなかった。
約束の午後六時、物々しい二台の自動車が、小石川の淋しい屋敷町にある、牛原氏邸の玄関に横づけになった。
約束はもう二三ヶ月も以前から出来ていたのだけれど、得二郎氏変死以来引続く凶事に、晩餐会どころではなく、長い間延び延びになっていたのが、この一月程、何の変事も起らず、流石の悪魔も退散したかと思われる程無事な日が続いたので、漸く約束を果す運びになったのである。
併し、明智小五郎の兼ねての注意に基き、玉村氏は、この何の危険もない晩餐会にも、屈強の書生数名を、護衛として同伴することを忘れなかった。
約束の午後六時、物々しい二台の自動車が、小石川の淋しい屋敷町にある、牛原氏邸の玄関に横づけになった。