アア、さっき奥村源造が、煉瓦に刻んだ遺書と云ったのは、これのことだなと思うと、恐ろしさに身震いが出たが、恐ろしければ恐ろしい程、それを読んで見ないではすまされぬ気持ちで、あちこちにちらばった煉瓦の塊を継ぎ合わして、字とも絵とも見分け難い掻き傷を、(恐らく懐中ナイフか何かを持っていて、暗闇の中で書きつけたものであろう)苦心して読み下して見ると、それは、次の様な身の毛もよだつ文句であった。
(操というのは、彼が不義を働いた、幸右衛門の妾の名だ)
操、ミサオ、ミサオ。
アア、さっき奥村源造が、煉瓦に刻んだ遺書と云ったのは、これのことだなと思うと、恐ろしさに身震いが出たが、恐ろしければ恐ろしい程、それを読んで見ないではすまされぬ気持ちで、あちこちにちらばった煉瓦の塊を継ぎ合わして、字とも絵とも見分け難い掻き傷を、(恐らく懐中ナイフか何かを持っていて、暗闇の中で書きつけたものであろう)苦心して読み下して見ると、それは、次の様な身の毛もよだつ文句であった。
(操というのは、彼が不義を働いた、幸右衛門の妾の名だ)
操、ミサオ、ミサオ。