明智はこのことを、電話で警視庁の波越警部に報じて置いたので、深夜ながら、警視庁と小石川警察と、両方から数名の警官が出張し、玉村氏が同行して、別間に待たせてあった書生達と力を合わせ、被害者の救出しに努力した。
救助者の一群は、秘密の階段を駈け降りて、穴蔵の入口に殺到したが、厳重な鉄扉の外に、煉瓦の壁が積み上げてあるので、容易に破れるものでない。
若し一人や二人の救助者であったなら、恐らく玉村親子の息のある内に、救出すことは、到底不可能であっただろうが、多人数の力は恐ろしい、てんでに道具を探し出して来て、煉瓦の継目をこじるもの、叩くもの、蹴飛ばすもの、汗みどろの奮闘で、やっと壁をくずし、鉄扉の錠前を破ることが出来た。