それにしても、あの小豆色の小さな毒蛇は、一体何を意味しているのだろう。
ある朝のこと、妙子さんと貰い子の進一少年との寝室(進一少年はこの物語の初めの方で顔を見せた切り、事件にとりまぎれ、ついその存在を忘れられていたが、彼は玉村家の血筋ではないので、賊の迫害こそ受けなかったけれど、家族一同の苦しみを、少年は少年丈けに、恐怖もし心配もしていたのだ)から、何とも形容の出来ぬ、物凄い悲鳴が、家中に響き渡った。
まだ家族のものは、床を離れぬ早朝であったので、一同その声にハッと眼を覚したが、久しく忘れていた、いまわしい記憶が、ふと心の隅に甦って来た。