余は固よりかかる目的を以て洋行せるにあらず、またかかる目的を以て帰朝せるにあらず。
大学にて英文学を担任教授するほどの学力あるにあらざる上、余の目的はかねての文学論を大成するにありしを以て、教授のために自己の宿志を害せらるるを好まず。
よつて一応はこれを辞せんと思ひしが、留学中書信にて東京奉職の希望を洩らしたる友人(大塚保治氏)の取計にて、殆んど余の帰朝前に定まりたるが如き有様なるを以て、遂に浅学を顧みず、依托を引き受くる事となれり。
余は固よりかかる目的を以て洋行せるにあらず、またかかる目的を以て帰朝せるにあらず。
大学にて英文学を担任教授するほどの学力あるにあらざる上、余の目的はかねての文学論を大成するにありしを以て、教授のために自己の宿志を害せらるるを好まず。
よつて一応はこれを辞せんと思ひしが、留学中書信にて東京奉職の希望を洩らしたる友人(大塚保治氏)の取計にて、殆んど余の帰朝前に定まりたるが如き有様なるを以て、遂に浅学を顧みず、依托を引き受くる事となれり。