隣り座敷の小手と竹刀は双方ともおとなしくなって、向うの椽側では、六十余りの肥った爺さんが、丸い背を柱にもたして、胡坐のまま、毛抜きで顋の髯を一本一本に抜いている。
髯の根をうんと抑えて、ぐいと抜くと、毛抜は下へ弾ね返り、顋は上へ反り返る。
まるで器械のように見える。
隣り座敷の小手と竹刀は双方ともおとなしくなって、向うの椽側では、六十余りの肥った爺さんが、丸い背を柱にもたして、胡坐のまま、毛抜きで顋の髯を一本一本に抜いている。
髯の根をうんと抑えて、ぐいと抜くと、毛抜は下へ弾ね返り、顋は上へ反り返る。
まるで器械のように見える。