その中にある建物は、同じ赤れんがの二階建てで、三角形にとんがった屋根には、むかしふうな四角い暖炉のえんとつがニューッとつきだしています。
窓は小さくて数もすくなく、家の中はさぞうす暗いだろうと思われるような、陰気なうすきみの悪い建築です。
そのれんが塀のかどに身をかくして、じっとようすをうかがっていますと、怪老人は、その石門の前の地面にうずくまって、ねっしんに例の符号を書いていましたが、それを書きおわって立ちあがると、またあたりをジロジロと見まわしてから、唐草もようの鉄のとびらに近づき、それを細めにひらいて、洋館の門の中へ、しのびこむように消えていきました。