殿村はとくいらしく説明しながら、ろうそくをかざして先に立ち、読者諸君もご承知の衣装部屋とでもいうような密室を通りすぎて、せまい階段を、おりていきます。
まがりくねったつえをついて、背中をまるくして、エッチラ、オッチラおりていくようすは、この陰気な場面によく似あって、殿村自身が、人間ではなくて、どこかよその世界から来た、魔物のように感じられるのでした。
中村係長は、まんいちのばあいのために、用意してきたピストルを取りだし、相川氏を、うしろにかばうようにして、ゆだんなくあたりに目をくばりながら、殿村のあとにしたがいます。